クルマ選びの際に使う側とのマッチングをより慎重にたしかめたいのが福祉車両親しみやすい福祉車両としてリヤスロープタイプを紹介してきたが今回は中古車としてのリヤスロープタイプを購入する際のチェックポイントを探ってみたい
日本トレーディングシステム
福祉車両ショールーム
新中 孝信さん
●数多くの福祉車両を取り扱っている新中さんは、福祉車両のオーソリティ。今回の取材でもユーザーの立場をしっかりと踏まえて、アドバイスを送ってくれた。
購入アドバイスだけでなく相談に乗ってくれる店を選ぶ
介護タイプの福祉車両として、人気が高いのがリヤスロープタイプ。電動部分が少ないうえに、価格も手ごろ、そして軽自動車からラインアップがそろっているという点も見逃すことができない。 しかし、いきなりリヤスロープタイプがよさそう!と決め込むのはちょっと待ってほしい。使い方などがマッチングするかどうか?をまず見極めてから購入を決めてほしい。 現在使っている車いすで乗車が可能かどうか? 身体が引っかかったりすることはないか? などの基本的な項目については、購入する人なら必ずチェックするはずだ。 意外と見逃しがちなのが、介護する側の人のこと。リヤスロープタイプのスロープ傾斜角は、10度前後だが、それでも人力で押して車いすを乗車させるのはなかなかの労働となる。ある程度の体力がある人でないと、この乗車作業はかなり大変だ。 また駐車場に傾斜が付いている場合などは、傾斜の向きによってはさらに大変になるということも頭にいれておいてほしい。 また、気候という面も大きく影響する。雪の多い地域ではスロープタイプはオススメできない。 というのもスロープに雪が付いてしまうと、車いすが滑ってしまい乗降がむずかしくなるのだ。とくに、降ろすときに滑るのは危険を伴うこともあるので、降雪地帯の場合はスロープタイプではなく、電動リフトなどを使うことをオススメする。 リヤスロープタイプにはふたつの種類がある。ひとつはニールダウンといって、リヤサスペンションが縮んでスロープの傾斜角度をゆるくするタイプ。もうひとつはニールダウンをせずに傾斜角度をスロープを作ることでゆるくするもの。 ニールダウンしないタイプのクルマは、最低地上高が低くなっていることもある。マンションの駐車場などに設置される暴走防止の突起など、大きな段差のある場所ではそのあたりのチェックも必要だ。 そしてもっとも基本となるのは、やはり介護される側と介護する側の人が両方で試してみること。 車いすを乗せて、降ろすことから始まり、車内各所のクリアランスや視界、そして車いす乗車位置の傾斜角度(車種によっては若干斜めになり、それがいい場合と悪い場合がある)などをチェック。もし、可能な場合はやはり試乗も行ってみるのがいちばんだ。
取材協力:
日本トレーディングシステム
福祉車両ショールーム
埼玉県新座市片山3-10-59
Tel:048-480-5888
●福祉車両の中古車を専門に扱う日本でも数少ないショールーム。もちろん入り口からバリアフリー。しかもそれだけではではなく、カウンターも車いすに対応したタイプを設置。トイレも車いすで使えるものが用意されているという完ぺきさ。
ブレーキ付き 車いすが必要
リヤスロープタイプのクルマに乗せる車いすにはブレーキ付きがベスト。スロープから降ろす際には、ブレーキをこまめに「チョンチョン」とかけることで、安心してスロープを下ることができる。とくに非力な人や、車いすの保持がむずかしい場合には必需品になる。
リヤスロープ車、中古車購入
10のチェックポイント